ぺさのブログ

ぼっちのリア充

青春小説書いてみた。

どうも ぺさです。

自分はいま30代なんですが

若い頃 充実した青春時代というものを経験してこなかったんで

大人になってもそういう青春に憧れを抱いているところがあって

そんな思いを何か形にしてみたくなり

青春小説を書いてみました

 

タイトルは青春に憧れて・・です
 

 

島田は酔っぱらうと
必ずといっていいほど
学生時代自分がいかにモテたかを語りだす。 
もう今年30にもなるというのに、よほど10代の頃が楽しかったのか
未だに過去の栄光を引きずっていて嬉しそうに自慢をしてくる

「あの頃はヤバかったからね。
しゅんも俺と同じ高校来てりゃおいしい思い出来たのに
もったいない」なんてことを言いながら
生ビールをグイグイ飲み上機嫌で酔っぱらって笑っている。

島田がいうには学生時代自分のファンクラブがあり
後輩の女子連中が周りに寄ってきて
しょうがなかったこと
彼女がいたのに他にセフレが何人もいたことなんかを
自慢のネタにして
毎回語っていた
しゅんはいつも聞いてるだけだったがさほど嫌でもなかった。
金のないしゅんを見かねて
いつも奢ってくれる島田に対してのちょっとした接待のような
気持ちだった。
まぁでもしゅんだって自慢できる過去があるならとっくにしているのだが
自慢できるような青春がなかったのだ。
女にもモテなかったし何かを成し遂げたこともない本当になにもなかった。

「おまえはどうだったよ?」なんてたまに島田にふられても
「いや、俺は特に、」と言葉を濁すことしか出来ずにいた

一体俺の人生はなんだったんだろう?
しゅんは最近よくそんなことを思って悲観的な気持ちになっていた
島田の話を聞きながら、程よく酔いがまわってきたとき
「おっす!」と軽く挨拶し、田所が合流してきた
田所はしゅんの隣に当たり前のようにどかっと座り店員を呼んで
生ビールと焼き鳥盛り合わせを頼んだ
体格の良い田所が隣にきたことで圧迫感を感じたしゅんは
「おまえあっち座れよ」と嫌そうな表情で田所に愚痴ったが
「いいじゃねぇか、どこでも」とまったく気にせずに呟き残り物を漁っている

「今日は仕事だったんか?」

「ああ昨日長野の心霊スポットまで行ってきたから、会社でその映像編集してたわ。」と田所は得意気な顔で答えた

それを聞いてしゅんが
「おまえんとこの会社いつもインチキ動画じゃねーか」とツッコむと

「うっせーな、いつもインチキだけど今回はマジの撮ったんだよ。」
と田所が返してくる。
いつものお決まりのパターンだった

「ほんとかよ。前にお前の会社からでてるDVD みたけどさ、、
なんだよあれこっくりさんやったら一緒にやってた女がおかしくなって
叫び始めるベタなのとか、
廃墟で白塗りの女が後ろに映って驚かすのとか
明らかにヤラセだったし。まじで見ててしらけたわ。」

「おい!あれだって需要あるんだぞ」

「マジかよ。あんな子供だましで誰がビビるんだよ」

「うっせーな!ビビるやついるんだよ。今回のはガチだから恐いぞ」

「どうだかな。あんな作品出してる会社だし」

「あんなって言うなや」

「あんなじゃねーか」

「お前見る目ないんだよ」

「それはお前や」

「いやお前だろ。お前の会社のDVD の評価大体☆一つじゃねーか」

「まぁ素人の評価なんてあにならないし」

「何が素人だよ」

「素人じゃねーか!」

「素人しか見ねーだろ」
と二人が散々けなしあっている様子を
満面の笑みで聞いていた島田が
「お前ら兄弟みたいだなー」と言って嬉しそうに笑っている
すると3人が気づかないうちに
無愛想な店員が近くまできていたらしく
「はい焼き鳥盛り合わせとビールお待たせしました」と田所が注文した品を
適当にトンっと置いて、そそくさと立ち去っていった。
そして店員がいなくなった後しゅんが
「幽霊かと思ったわ」とぼそっと呟くと
二人は聞こえてないのか無視して
焼き鳥に手をつけ始めていた
しゅんが
相手にされなかったので憮然とした表情でビールを飲んでいると
「じゃあ今度は3人で心霊スポットいってYouTubeにでも投稿するか?」と
田所が調子に乗って心霊ツアーを提案し余裕のふりして二人を見比べた

「イヤに決まってるだろ。お前そんなとこばっかいってたら、絶対呪われてるぜ」
とビビりの島田が即座に却下すると
「島田ビビってんなよ~、幽霊なんかに」と田所はでかい口をたたき
ガハハと声をあげて笑った

「別にびびってねーよ。」

「ほんとかよ(笑)まぁ、いいけどさてか島田はあいかわらず不動産で働いてるの?」

「そうだよ」

「不動産て実際どうよ仕事」

「いや大変だよ。」

「ノルマあんの?」

「うちはないよ。あるとこ多いけど」

「へーならいいじゃん事故物件とか紹介できんの?」

「いや俺賃貸営業じゃなくてマンション売ってるほうだから紹介はできんな悪いけど」

「そうなの?なんだ事故物件で撮影したかったんだけどな」

「やめとけって」

「やっぱり?面白そうだけどなしゅんは、まだブラックバイトしてんの?」

「してるよ。」

「いつまでやんの?」

「わからん」

「仕事楽しい?」

「いや、つまんねえよ。仕事って言ってもバイトだからな」

「めっちゃブラックなんだっけ?」

「そうだよ。残業しても残業手当つかねーし有給とれないし」

「やめればいいじゃんそんなとこ」

「まぁそろそろやめるつもりだよ。」

「そうなの?やめてなにすんの?」

「どうしようかな、」

「就職しないの?」

「うーん就職かぁ、」
そう呟きしゅんは気が重くなった
自分が就職するなんて若い頃は考えたこともなかった
じゃあ何がしたいか?自分に何ができるのか?と聞かれても
別にやりたいこともなく
何か天才的な才能もない気がした
ただ昔からお笑いや音楽や漫画などの面白いことや感動するようなものが好きで
人よりそうゆうことに興味を持ち絶えず自分を楽しませてくれる作品を
探してきたとゆう社会で全く役に立たない自負はあった
でもそれだけじゃ現実問題ただのフリーターである
だから自分がこの境遇を脱出するために何かしないとこのままじゃヤバイと
気ばかり焦っていたがただただ焦るだけで時間だけが過ぎていってしまっていた
そして(俺はこれからどうなるんだろう・・)と
憂鬱な気分でしゅんが固まっていると
島田が「海外行けば?」と
また無責任に適当なことを言ってきた
「海外かぁ~」
海外なんて行く気は全くないのに自分の不安な本心を隠したいがために
そうしゅんが返答すると
田所が
「なんかやりたいことないの?」と追い討ちをかけるように
バカな質問してきて
「やりたいことか、」と呟いてまたしてもしゅんは固まってしまった
すると早くもできあがってる島田が唐突に
「セックスだろ?」と言って嬉しそうな顔でニヒヒと笑った
島田は酔っぱらうと周りに人がいても関係なく下ネタをデカイ声で発する悪癖があり
そのたびにしゅんや田所は迷惑していた

「おまえ声でけーよ」

「いいじゃねーか。じゃあさ中学の女子でセックスしたい相手ベスト3を言おうぜ」
なんてことを勝手に提案し島田は一人で盛り上がり
しゅんと田所が
「なんでだよ」
「嫌だよ」と拒否しても
「いいじゃねぇか、せっかくだし、じゃあ俺から言うから」と
俄然乗り気で自分がセックスしたかった女子を
次々と発表し始めた

もう中学卒業して10年以上たつのに今さらと二人は思っていたが
島田はそんなこと気にする様子もなく嬉しそうに考えて

「3位は、んーっと、やっぱり倉マリかなエロい身体してたし、フフフ」と
勝手に自分のセックスしたいランキングをを言いいやらしくほくそ笑んでいる
その様子を見ながらしゅんが
「おまえ、倉マリ好きだなぁいつも言ってるじゃん」と呆れるように呟くと

「倉マリかわいいじゃん、。多分倉マリ俺のこと好きだったぜ」といつものように
また勘違い発言をして自慢をしてきた

「なんでだよ。倉マリ、後輩と付き合ってたじゃん。たしか、」

「えっ倉マリっていまなにしてんの?」

「なんか結婚したって聞いたな、」

「そうなの?相手は後輩?誰よ?」

「知らん。島田知ってる?」

「たしか高校の同級生だって」

「まじかー、」

「じゃあ純愛じゃん。」

「やりまくってんだろ?」

「でもなんか離婚したとか聞いたぞ」

「へーそうなの」

「島田ショックだった?」と
しゅんがわざとらしく聞くと

「まさか、俺高校からもっといい女と付き合ってきてるし」といい
強がるように大げさに笑った

その後も中学の頃の話で一通り盛り上がり三人が三人ともけっこう酔っ払っい
結局、島田に促されて、
自分のセックスしたかった女子ランキングを他の二人も発表してしまっていたが、
楽しかったからまぁいいやと、しゅんも田所も満足していた。
頃合いを見て
島田が「そろそろ出ようぜ」と二人に言い
会計を済まし外に出ると田所に至ってはふらついて倒れそうだった
そんな田所を見てしゅんがゲラゲラ笑っていると
島田がすっと気配を消ししゅんの近くにきて、
「隣のテーブルにいた二人組の女いたじゃん。あの二人俺のほうチラチラ見てきてたぞ
絶対俺のこと好きだぜ」と真面目なトーンで耳打ちしてきて
しゅんの右肩をパンパン叩いて笑った

「マジで?」と、しゅんは
聞き返し内心(また島田の勘違いが始まった)と笑いそうになり吹き出しそうだった 
島田は
毎回居酒屋で飲むたびに店内を隅々まで見渡し
かわいい女がいないか密かにチェックし店を出ると
「あの女俺にサイン送ってきたとか、あの二人組、俺のこと話題にしてる」などと勘違い発言を言ってくる痛い奴だった
ギャグで言ってるのかまじで言ってるのかわからないが、
30過ぎておっさん化している俺たちを見て若い女性が黄色い声援を
あげるわけがなかったがしゅんは島田に話を合わせて
「こっち見てきたなら、誘えば良かったじゃん」と聞くと
島田は少し考えるふりをして
「うーん、ああゆう女はヤリマンぽいからな」等と言い訳し
結局いつも何も行動を起こさないのである
そのくせしゅんに
「あー、もったいない今しゅんが話しかけたら、やれたのに」と
自分が行動できないことを人のせいにするのでたまにイラっとした
そんな島田を無視してしゅんは田所の様子を窺うことにすると
だいぶ酔いがさめたのかいつもの調子に戻ってきて
「このあと、どうする?」と二人に聞いてきた
「どうしよう?。てかいま何時だ?」
しゅんが右ポケットにいれているスマートフォンを取り出し時間を確認すると
まだ10時前だった。

「まだ10時だって」

「まじで?全然時間あるじゃん」

「どうする?もう一軒いく?」

「島田どうする?」
すると
島田は少し考えて
「じゃあさ、ジャンケンで負けたやつがナンパするってのは?」と
またおかしなことをいい始めた

「なんでだよ」
「やだよ」としゅんと田所が咄嗟に断ると

「いいじゃねぇか、さっき奢ってやっただろ」と島田は尚も強引に話を進めようとする

「それとこれは別だろ」

「そうそう」

「わかったじゃあ一回だけやろうぜ。」

「わかってないじゃん」

「ナンパなんかできないって」

「やればできるって。もしおまえらが
女連れてきたら、次も奢ってやるから」

「まじで。」
奢ってくれるなら話は別だった

「マジマジ。だからやろうぜ」

「しょうがねぇ、じゃあ一回だけやるか田所」

「ああ、よし」

3人ともナンパなんかできもしないくせに酔っ払い気が大きくなっているせいか
なんだか出来そうな感じがしてついオーケーしてしまった
「よし、、じゃあ、いくぞ」と
島田が乗り気でじゃんけんを始めようとするから

「ちょっと待って、一回勝負だよな?」
としゅんが慌ててルールを確認する

「一回勝負一回勝負負けたやつが声かける」と島田が説明し

「わかった」

「よし、最初はグー、ジャンケンポン!」と三人が一斉に右手を出すと
言い出しっぺの島田が負けてしまった
その直後
「ギャハハハ島田の負け!」と田所が大笑いして喜びしゅんとハイタッチした
一方の島田はパーを出したまましばらく固まっていたが
その後冷静を装い、
「声かけてくりゃいいんだろ?」と
二人に強がって駅前の雑踏の中に入っていった
その様子を
しゅんと田所は遠くからニヤニヤ笑みを浮かべて
「がんばれー」等と悪ふざけで声援を送り
島田が女を連れてくるのを待っていたが
肝心の島田はあれだけ威勢よく飛び出したくせに
若い女性の前を何度も通りすぎながら声をかけれずに
行ったり来たりして挙動不審な動きを繰り返している

しばらくその様子を見ていた
しゅんはなんかかわいそうになってきて
「もう、いいから、戻ってこいよ」と
島田にLINEを送ったが
既読スルーのまま返信はなく
島田にも意地があるのか
しばらくして覚悟を決め
前を通りすぎようとした
50代ぐらいのおばさんに「すいませんいま何時ですか?」と
緊張した様子で時間を聞くというしょうもないことをし
「声かけてきたぞ」と満足そうな表情で戻ってきた
「なんだよそりゃ」としゅんが呆れて口にすると
「なんだよ。声かけたじゃねぇか。女性は女性だろ」
「セーフだ」と島田は言い張り続け
押し通そうとするので
しゅんも段々めんどくさくなって、「じゃあもういいよそれで」と
簡単に折れると田所も
「まぁ、一応声かけたしな」と
あっさり同意した

そのあと島田は自分が負けてナンパに行かされたことに納得いかなかったのか
「もう一回やろうぜ」と
二人をしきりに誘ってきて
二人は渋々もう一度ナンパジャンケンをしてしまい今度は田所が負けた
そして田所も島田と同様、駅前をウロウロしながら声をかけれずに徘徊し
行くあてもないゾンビみたいだったが、
近くで路上占いをしている
女性をみつけると
「当たりますかー?」と
震えながら声をかけ
その女性とぎこちなく
少し会話をした後
なぜかその女性の後ろに並び
自分も真面目な顔をして
占い師に占ってもらっていた
その一部始終を遠巻きに見ていた
しゅんと島田は
「あいつなにやってんだよ」
「なんで占いしてんだよ」と口々に言い合って馬鹿にし
20分後田所が「ナンパ大成功」とかうそぶいて
ふざけた態度で戻ってきた時には
「お前なにやってんだよ」としゅんが冷たく言い放った
しかし田所は
「いや、占い好きの男ってゆう設定だったからな、占いしないわけにはいかないだろ」
とよくわからない言い訳をし
「俺、90まで生きるらしいぞ」と
どうでもいい自分の占い情報まで教えてくれた

「知るか!」

「女はどうだったんだよ?」

「ああ、あの女か、あいつ、俺が声かけたら、迷惑そうな顔して、そそくさと帰っていきやがったよ、あのビッチめ」と田所は大げさにいらついた素振りをして
何も悪くない女性を非難しチッと舌打ちした
それを聞いてしゅんが
(おまえはピッグだろ)と心の中で突っ込んでいると
島田はなぜか頷きながら
「そっかダメだったか~じゃあ次はしゅんがチャレンジしてみる?」と
いきなりしゅんに無茶ぶりをしてきた

「なんで俺なんだよ」

「一回やってみな一回」

「やだよ。ジャンケンで負けたわけでもないのに」

「何事も経験だって、じゃあもし女連れてきたら、高い寿司奢ってやるから」
と島田はまたいつもの方法でしゅんを従わせようとする

(こいつワンパターンな奴だな)としゅんは
思いながらももし俺がナンパ成功したら
二人ともどんな顔するだろうと考えたら
急にワクワクしてきて
俺ならいけるんじゃないかとゆう根拠のない自信がふくれあがり
「よし、しゃあねぇから、やってやるよ」と偉そうな態度で了承してしまった
そして
勢いよく駅前の人混みの中に入っていきターゲットを探し始めた
しかし友達から離れて
1人になると急に
緊張と恥ずかしさが押し寄せ
戦意喪失して
数分後には早くも後悔し始め
なんで俺はこんな馬鹿なことをしてくるんだろうと自己嫌悪に陥ってきた
しゅんの前を
通りすぎる集団やカップルや店員の客引きの幾多の会話を聞くと
自分がナンパなんかしたらネタにされて笑われるような
気がし、
とても声なんかかけれないような弱気になってイケそうな感じの女が通っても
タイミングを逸してしまうのである
しゅんは
助けを求めるように田所と島田のほうを振り向くと
こちらの気も知らないで二人は会話をして笑っている

(ダメだ、ギブアップはできない)

(よし。)
しゅんは気合いを入れ直すために駅の反対側に移動し
二人の視界から消えていった
それを見ていた島田が
「あれっしゅんどっか行ったぞ」と呟くと
「トイレでも行ったんだろ」と
気にする様子もなく田所が返す

「トイレか。てかあいつ声かけれるかな?」

「どうだろ。でもあいつ、ちょっとリミッター外れて暴走するところがあるから、
もしかしたらうまくいくかもな」

「暴走してナンパするってこと?」

「そう。普段おとなしい奴ほど、なにするかわからんからな
しゅんは、暴走モードになったら声かけまくれるかも」

「確かにな。」と二人が雑談しながら
しゅんを待ち続けもう30分以上たったが帰ってくる気配はなく
「どうだ?」と田所がLINEを送っても既読にならない

すると田所が、さっきとは一変して
「あいつ逃げたんじゃねーか」
と言い始めた

「マジで?」

「だっておかしくね?もう30分以上帰ってこねーしあいつ絶対ばっくれたわ。あのやろう」


「電話してみるか」そう言い島田が電話をかけても繋がらない

「ダメだつながらなん」

「うわー、やりやがった!」と
田所が叫びオーバーリアクションをとっていると

「どうする?」と島田が聞いてきて

「とりあえずしゅんはほっとくことにしてどっかで飲みなおそう」と
田所があっさり言って
「そうだな。」と島田も
すぐ同意すると
二人はしゅんを置き去りにしてスマホで
ネット検索しながらエロい店を探し始め
近くに水着のガールズバーがあることが分かりそこに行こうという話になった

早速
その店に移動を始めたら
しゅんから田所にLINEが送られてきた

「ちょっと待って、しゅんからLINEきた」

「なんて?」

「俺はまだ終わっていない」だって
「なんだよそりゃ?」と島田が首を傾げたあと

田所がスマホで
「どうゆうことだ?ナンパしてないのか?お前いまどこにいるんだよ?
今から水着のガールズバー行くぞ」としゅんにLINEを返し

「あいつにガールズバーいくってLINEしといたわ」と島田に伝えると
二人は早々と水着のガールズバーに入店していった

 

その頃・・・
しゅんは駅前で、路上ミュージシャンの唄を聴いて
切なくなっていた
まだ若干18才だとゆう彼女の歌が
不覚にも胸にガンガン響いてきたのである
空のギターケースの中に手書きのポップが置かれており 
田川ゆうな18才弾き語りで全国縦断中!と書かれ
その隣には自主製作であろうCDが並べられている
値段は一枚500円らしい

18才でこの勇気と行動力しゅんは自分が恥ずかしくなった

あのあと・・
駅の反対口に移動して、ナンパを試みたがまったくうまくいかず、
ふと人だかりができている一角を
興味本位で覗いたら意外にいい歌を歌っている
かわいい子がいたのでなんとなくそのまま聴いていたら
釘付けになってしまっていたのである

そしてまたいつものごとくしゅんは自己嫌悪に陥っていた
俺は何やってるんだろう、、18才の女の子がこんな一生懸命に
夢を追いかけているのに自分は酔っ払って、
出来もしないナンパなんかしている
俺はクズだ死んじまえ!
おまえなんか生きてる価値ないよ
死ね

いや死んでどうする?
死んだってなにもならないじゃないか
俺はもう終わっちまったのか?
いやまだこれからだろ。
これからだこれから!
まだこれからだ俺の人生は!
そう思ったらいてもたってもいられず
田所に熱いメッセージを送っていたのである
田所にしたら突然送られてきた
理解不能な内容であったが
しゅんはその時の気分で思ったことを口走ってしまうような
自分勝手な奴なので他人の気持ちなど正直どうでもよく
自分さえ満足してればそれでよかったのである

「迷子の少女という曲でしたありがとうございましたー!」
そう言って彼女が歌い終わると
ちょっとした人だかりからパチパチとまばらな拍手が起こって
数人がCDを買うために彼女に近づいていった
その購入者たちはほとんどおっさんで
彼女のことを若い女でかわいいからという下心で応援しているように見えた
しゅんはそうゆう連中と同じように見られたくないと思い
(俺は違う純粋に彼女の作品がいいとから買うんだ)と
自分に言い聞かせて
(本当は似たようなものだが・・)
恥ずかしさを押し殺して
勇気を振り絞り彼女に近づいていって震える声で
「あっCD1枚ください」とボソッと呟いた
すると彼女はそれに気づき
「ありがとうございます!500円です。」と言って満面の笑顔をしゅんに向けた

しゅんはドキドキしながらも冷静を装い
「あっ500円。はい」と渡すと
彼女に「これからも応援してください!」と
しゅんの目をみて声をかけられたので
しゅんは嬉しくなって好きになりそうだったが
照れてしまいそっけなく
「あっ。はい。」と答えせっかくの会話できるチャンスを逃してしまった
そしてその場を離れ遠巻きに彼女を見つめながら
ふとスマホを取り出し
田所と島田から送られてるLINEに目を通す
くだらない内容ばかりだったが
一応今の自分の場所を教えるために
返信するとあと30分くらいしたら
店出るから合流しようとメッセージが届いた

了解と返信しさっきと同じように遠巻きから
彼女の歌を聞いて自分の前を通りすぎる人達を観察していた
そしてしばらくして
酔っ払って上機嫌な田所と島田が
しゅんを見つけ笑顔で近づいてきた

「ビキニ最高~!」と叫びながら
しゅんのもとへ歩いてきたから
気の小さいしゅんはうろたえながら
「静かにしろよ!」と制して
あの子に聴こえてないか心配して
キョロキョロ彼女のほうを何度も見てしまった


「お前何やってたんだよナンパしたのか?」
唐突に島田が聞いてきて

「したわ。ほらっ」そう言って
しゅんが先程買ったCDを見せる

「なんだこれ?」と怪訝そうな表情を
浮かべる二人に
路上でまだ歌っている彼女の方をしゅんは指差し
「あの子に話しかけて買った」と答えた

「マジかよ!」

「てかナンパじゃねーだろそれ」と
島田が批判してくる

「お前に言われたくねーよ!」
としゅんが返すと

田所が
「連絡先聞いたのか?」と鼻息荒く聞いてくる

「聞いてない」

「聞けよ!」

「でもツイッターとインスタやってるらしいけど」

「フォローすんの?」

「フォローしてもなぁ」

「じゃあなんでCD買ったんだよ!」

「なんか良かったんだ。よあの子売れるぜ間違いない!」と
しゅんが自信満々で答える

「ほんとかよ名前なに?」

「田川ゆうな18才」

「18才?ヤバ」

「俺が目をつけてたの覚えといてや」

「なんだよそのプロデューサー目線は」 
そういって島田が呆れて苦笑していた

そしてしゅんが
「俺も何か行動しねーとな・・」と誰に言うでもなく1人呟くと
田所が
「とりあえず水着のガールズバー良かったから行ってみろよ」と言って
優しそうに笑っていた。

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