ぺさのブログ

ぼっちのリア充

死神(生きたくないけど死にたくない)

一生懸命働いて家族を養っている父親を見てたら悲しくなった
全力で夢に向かって戦っている歌手の歌を聴いたら辛くなった
誰かの為に生きることも出来なかったし
好きなことをやり続けることも、出来なかった
何も残っていない何も・・・
ただ、楽をして欲望に溺れた自分がいるだけ。
そんなマイナス思考に陥りながら
松田は自分の部屋で酒を飲みながらTVを見ていると
「そんなに自分を責めないでください。」と後ろから無機質な声が聞こえた
松田がハッとして振り返ると死神のような奴が立っていた

 

「なんだおまえは」と声をあげると
「私はあなたの理解者です」と、死神は答え、続けて
「何もない人間はあなただけじゃないですよ。
大体の人間なんて、そんなようなものです」と冷静に答える
「うるせーな、お前に俺の何がわかるんだよ」
なぜか、恐がらずに松田は反論していた
寂しかったのかもしれない
死神は、そんな松田の言葉などおかまいなしに
なおも流暢に話しかけてくる
「あなたの人生見させてもらいましたよ」
「俺の人生?」
「ええ、今までの30年間。なかなか楽しめました。
あなたは、自分を卑下してますけど、そう捨てたものじゃないですよ。
確かに、あなたは、自分に甘い。
すぐ諦めるし、根性がない。
でも、逆に潔いとも言える。
たまに、いますよね。
好かれてもないのに、しつこく、つきまとうストーカーみたいな人間が、
そうゆう人種に比べれば、よっぽどいい」
そう言われると、たとえ死神からでもまんざらでもない気持ちになってくる。「そうかな」
「そうですよ。あなたは、賢いんです。自信を持ってください。
才能ないのにダラダラ夢を追いかけている人間よりも
愛情ないのに家族を作る人間よりもあなたは
自分のことが理解できている」
「そうかな」
「そうですよ。あなたは、成功者を見て落ち込んでいたけれど、
ああゆう人達はごく一部です。
それにああゆう人種は私のようなものからしたら
めんどくさい存在なんです
やれ、家族がどうとか、
子供がどうとか、
ファンがどうとか、
夢がどうとか
なかなか私のような存在を理解して受け入れようとしない」
そう言って死神はわざとらしく苦々しい表情をした
「ってことは、俺は死ぬのか、」少し間を開けて松田がぽつりと呟いた
「さすが、察しが早い」
「そうか。死ぬのか」他人事のように、松田が反芻する
「はい」
「原因は?」
「生きることのストレスからくる暴飲暴食のようですね。
まぁ、仕方ないですよ」
「仕方ない?」思わず聞き返した
「はい。あなたは残念ながら生きる才能がない。
生きる才能がない人間が、
生きているのは辛いだけですからストレスになるのです
賢いあなたなら、もう随分前から分かっていることでしょう」
死神は、松田を諭すような口調で、そう答える
「なるほどな、、」確かにそういわれると妙に
納得がいった
「そうか、死ぬのか・・」
「大丈夫ですよ。どうせ皆死ぬんです。
松田さん、あなただけじゃないんですよ。」
「、、でも、、死にたくないないな・・」
「生きたくもない、、でしょ?」
「そうだな。」
「わかりますよ」

「死神になにがわかるんだよ!」

イラついた口調で松田が怒鳴ると、死神は
ハーとため息をひとつつき

「私だって死神をやっていることが嫌になる時があるんですよ。
いっそあなたたち人間のように死ねたら、どんなに楽か」と
うんざりした口調で死神は答えた

「なるほど、、あんたも才能ないんだな・・」
理解したように松田は返答する

「そうなんですよ。困ったもんです」
そうゆうと
死神は不気味な笑みを浮かべて苦笑いをしていた

「それでもやるしかないんだろ。」
「はい。」
「偉いな。」
「いえいえ、」
「ああでも死にたくないな・・」
そう、また自然と口にだしていた
松田の本当の心の声だったかもしれない
そんな松田の様子を見て、死神は冷静な口調で
「生きてたって辛いだけですよ」とキッパリ答える

(確かにそうかもしれないな・・
これまで、いいことなんて
なに一つなかった、いっそ死んだほうが楽なのかもな。
でも、死んだからって楽になるのか・なにもなくなるだけじゃないのか・・)
自問自答しながら、頭を抱え
煮え切らない態度をしている松田に向かって、
死神は
「潔いのが、あなたの長所でしょう。らしくないですよ」
そう平然と言い放ち
虚ろな目でこちらを見つめてる松田に最後の宣告をする。

「松田さん残念ですがそろそろ時間のようです。」

「え!ちょっと待ってくれ!やっぱ俺は死にたくな・・」

 

 

ブシュ!!

 

 

死神は松田の言葉を遮るように右手に持ってる鎌を一気に振り下ろし

松田は、呆気なく死んだ。

そして
死神は何事もなかったように次の仕事先へと消えていき
松田の部屋では、TVから流れた笑い声が
松田の死体を嘲笑うように
「ハハハハハハ」と部屋中に響いていた・・

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